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Dear, my dear.

ゼノブレイド2非公式二次小説置き場。 ジクメレ・カグメレ等メレフ中心。 管理人:琉

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201804

ジクメレ


【酷い男】
買い食いに酒に夜遊び。それから色恋。「メレフ様に変なことばかり教えないで」当然釘を刺される。「本人の自由意志やろ」「責任を取る気もないくせにと言っているの」耳に痛い指摘だ。メレフが信じるほどジークは優しくない。「あんさんはワイをどう思うとるんや」「酷い男よ」カグツチの方が正解だ。

【鎖骨に咲いた赤】
一人の部屋でベッドから降りる。下着を着けて鏡の前に立つ。鎖骨に残る鬱血の跡。やめろと言ったのをどうせ服で隠れて見えへんと無視して残された、メレフが間違った証拠。「…カグツチに燃やされないことを祈るんだな」メレフから知らせはしないが。先に戻ると出て行ったジークに向け腹いせに呟いた。

【ああそうだよ、認めるよ、恋だよ】
伴侶を得るなら勤勉で生真面目な青年がいいと思っていた。顔立ちに少々可愛らしさがあれば尚よし。要するに彼と真逆。それがどうだ。彼の好物を記憶して、交わした言葉を就寝前に反芻し、今だって呼ばれた気がして顔を上げ人違いだと小さな落胆。そろそろ認めざるを得ない。私はジークに懸想している。

【声を聞かせて】
旅の後も、ジークとは手紙の遣り取りを続けている。けれど伝わるのは言葉だけ。最後に顔を見たのは2ヶ月前の式典で、挨拶を交わしたのは半年前。
“声が聞きたい”
書いて、便箋をぐしゃりと丸める。こんなことを言える間柄ではない。書き損じを暖炉に焚べ、メレフは当たり障りのない手紙を書き上げた。

【指切り】
通じた想いは実らないと知っていて、諦めるために愛を誓った。真夜中二人きりで宿を抜け出した星月夜。指輪もキスもなく真似事未満のできそこないの式。ただ子供のような指切りだけを交わす。
「お前を忘れない」
重なる声。深く微笑んだジークに、思っていたより優しい男だったのだとメレフは知った。

【逃げるなよ、追いかけたくなるだろ】
酒場を後にした夜の路地。「ほっそいなあ」ほろ酔いの勢いに任せてメレフの手首を取ってみる。秒以下の反射速度でパッと手を振り払われ、足早に先を急がれる。頬の赤みは酔いかそれとも。あかんで、それ。ジークは胸中で呟く。せっかく自重せなと思うとったのに、男は逃げられたら追いとうなるんやぞ。

【一心同体】
「まさに一心同体やな」ジークが感心する。「息ぴったりやん、カグツチと」「それを言うならお前も、普段の動作から何からサイカと同じだ」そのまま互いのブレイド自慢に突入したが、途中でトラの茶々が入りどちらが相方の力を引き出せているか口論になる。カグツチとサイカは目を見合わせ苦笑した。

【強いが弱い守らねばならない人 】
強く清く美しく、流石炎の輝公子の名は伊達ではない。だが先陣を切り盾となる細い背にそのうちあっさり逝ってしまいかねない危うさを覚えるのは侮蔑になるだろうか。「メレフ、危なくなったら言いや」告げながらジークは一番手に躍り出る。彼女を守りたいと思っているのは、カグツチだけではない。

【24時間観察したい】
レックスに戦闘法の指導をする。ビャッコを意味深に見る。トラにあまあまういんな換算を頼まれ雑回答を返す。そんなメレフをこっそり眺める。「見とっておもろいわ。観察日記でも付けてみよか」「燃やされるからやめとき」悪趣味やとサイカが言う。実行すればジークが蒼炎の餌食になるのは間違いない。

【どうして助けてくれるんだ】
自国で計画された反乱の事前鎮圧。ふと気になってジークは聞く。「何でそんな真剣に手を貸してくれたんや」スペルビアには関係ないのに。メレフは涼しい顔だ。「単純に見過ごせない。それに、頼りにされてしまったからな」テラスに向く視線。遠くない昔ジークが語った決意を彼女はちゃんと覚えていた。

【嫌われても救う】
「スペルビア皇帝とメレフならお前を助けるで」我が身より皇帝陛下が大事だと語るメレフにジークは言う。最低の仮定に気配は途端に不機嫌になる。「仲間やからな」「もしそんなことをしたら、私はお前を生涯恨む」「おう、好きなだけ憎んでくれ」彼女の命を保てるのなら、その後の関係など二の次だ。

【わざと君に捕まった】
「なんか思いっきり付け込んだ気がするわ」ジークの独語に、何にとは問わない。経験がないことはばれていて、たぶん彼は一方的にメレフを手に入れたつもりでいる。勘違いが癪だ。「この際言っておくが、お前が捕まえたんじゃない。私が捕まりに行ったんだ」なんの意地を張っとるんやとジークは笑った。

【恥じらう顔が好きだ】
女性が恥じらう姿は愛らしい。潤む瞳や赤らむ頬や小さくなる声やもじもじと捩られる曲線美。男心を擽るのはそういう弱々しさで、睨む眼差しや怒声や舌打ちは致命的に何かを間違えている。だがそれがメレフの恥じらい方で、充血した耳が充分可愛いから仕方ない、とキスを不意打ちしたジークは結論した。

【思いで身が焼けそうだ】
メレフの日々はシンプルだった。頭を悩ませる種は数あれど背負う目的は鮮明で人間関係は整然と。それが自由を得ればどうだ。心の片隅にひっそりと灯った雪国の火は徐々に熱を増し。「どうせ身を焦がすならもっとましな相手にすればよかった」独り言。前方ではジークが巨神獣に噛み付かれかけていた。

【後悔しないなんて正気で言ってるのか】
「絶対に後悔するぞ」想いを打ち明けられ、是非の前にメレフはそう言っていた。「どう足掻いても私の方が先に死ぬ」一時の幸福と引き換えにその数倍の寂寞が彼に約束されてしまう。「それでもお前を知らんで死ぬよりましや」ジークは怯まない。「正気か」「正気や」真剣な声に拒絶の理屈を失っていた。

【優先順位は最下位だ】
仲間内で誰を最優先で守るかは決められないが、最下位がジークなのは確定している。他意はない。「まあ信頼と思うとくわ」「お前だって同じだろう」「案外優先度高いかもしらへんで」「残念だ。私の方が打たれ強いから助けてもらえない」「なんやと」半眼になったジークにメレフは声を上げて笑った。

【抱きしめる時間が長いほど淋しいのだろう】
大抵の痛みも悩みも互いのブレイドで溶かせてしまえて、なお人間同士でないと舐め合えない傷がある。信じていたものになれなかった辛さとか。何かを残したい本能とか。「…今日は結構沈んでいるな」抱き締める時間が長いとメレフの指摘。「どっちがや」ジークは苦笑する。体温を遮る服が邪魔だった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



カグメレ


【どこか知らない場所へ】
リベラリタス、アーケディア、ルクスリアさえ。新たな景色を知る度カグツチを襲う既視感。既に日記で読んだ情景の再発見。「どこか知らない場所へ行きたいです。メレフ様とが初めてになる場所」「新しいアルスでも探すか」やがて世界がそんな場所だらけに変貌するなど、軽口を叩く二人はまだ知らない。

【よくいったものだ、】
ゆきどけミルフィーユを口にしたカグツチがいつになく高揚してメレフに勧める。一口貰ったメレフは代わりに自分のスノウレアチーズケーキを差し出す。「なんや姉妹みたいやなあ」「アデルフィアとはよく言うたもんや」ドライバーとブレイドを著すルクスリア語を持ち出して、隣の席のジークは言った。

【特別なことなど何もいらない、 ただ毎日きみに おはようとおやすみを言いたい】
「私はお前のために何をしてやれるだろう」メレフは尋ねた。「何かお前の日記に残すに相応しいことを」「そうですね、それも嬉しいですが」カグツチは答えた。「毎日おはようございますとおやすみなさいを言わせて頂ければ十分です」遠い未来までずっと隣で。ささやかで日記には残らない、至上の幸い。

【未練たらしい】
直接に触れる肌と肌。滑らかな感触と幸福な体温。上半身を優しくくすぐられながら青く輝くコアクリスタルに口付ける。脳裏によぎるブレイドイーターの技術の存在。「どうされました?」「何でもない」未練がましい。望んでいいものでもない。「お前で忘れさせてくれ」だから代わりに、熱を求めた。

【大切だったはずなのに】
日記を通して過去のドライバーを知る。特に前代は頁が多い。メレフ・ラハットという女性。共に世界を変えたらしい。大切だったと文章の全てが訴えているのに、カグツチは何も覚えていない。ただ一つ前の私は歴代でも特に幸福だったのだろうと思うだけ。餞代わりに伝え聞いたメレフの最期を書き残した。

【ゲームを始めようか】
「お前と指すのも子供の頃以来か」船旅の暇潰しに仲間から拝借したチェス盤に向かい合う。「あの頃のリベンジをさせて貰おう」幼いメレフよりはカグツチの方が強かった。「知っているだろう?私は負けるのが嫌いなのだ」「奇遇ですね。私もです」不適に笑い合う二人をワダツミが愉快そうに眺めている。

【消えた足跡】
雪国に降り立ち、ニアがホムラで暖を取っている。それを横目にカグツチは囁く。「メレフ様、寒くありませんか」「ああ、問題ない」言いながら人知れず肩が震えている。強がりばかりの主人にカグツチは普段より距離を詰めた。ある地点から寄り添い狭まった二つの足跡は、降り積もる雪に隠されていった。

【素直じゃないとこも可愛くてよろしい】
手紙を書く横顔が普段より柔らかい。「カグツチ?」視線に気付いたメレフが顔を上げる。「お気になさらず。恋文に集中してください」「そういうものではない!」通常なら流す程度の冗談に過剰反応。素直じゃなくて可愛い。主人を取られたことはともかく、この顔が見れた点だけは彼に感謝している。

【いつも幸せを伝えれば倍にして返される】
共に味わったスイーツ。並んで感動した景色。頂いたプレゼント。「こんなに幸せでいいのかと思ってしまいます」カグツチが告げる感謝に、メレフが返したのは殺し文句だ。「お前の日記を私の代が歴代最長にするのが目標なんだ」冗談めかして笑う彼女の愛しい本心。「さあ。次はどんな思い出が欲しい?」

【明日も明後日も一緒だろう】
目覚めて朝の挨拶。スケジュールの確認。為すべきを淡々とこなす。時折雑談とティーブレイク。話題は世界のことから最近話題のスイーツまで。日が暮れて翌日以降の予定の調整。他愛ない会話をしておやすみのキスをして眠る。今日も明日も明後日も。メレフが死ぬまでずっと続く、カグツチとの日常。

【いつも心配で仕方ない】
意地を張るばかりが得意な人だ。質の悪いことに貫いて無理を出来る程度には強く、斜め後ろから見守る線の細い肩がいつか崩れてしまうのではないかとカグツチは心配で仕方ない。「私が貴方を守ります、メレフ様」繰り返し告げた言葉。頼りにしているよと微笑む、陰りのない笑顔こそを護りたいと願う。

【いつか立場が逆転するだろう】
従者であるが、それ以上に喩えるならば姉だった。常に優しく時に叱咤を貰い時に頭を撫でて褒めてくれた。もうすぐ逆になると彼女の外見年齢に追いついてメレフは予感する。外見の情報に人間はすぐ行動を左右される。「カグツチ」呼び掛け、指を絡めた。きっと今だけの友人めいた距離感を記憶する為に。

【ひとりで戦うのは慣れている】
皇帝のお気に入りで絶大な権限を持ち、加えて女性。そんなだから帝国内部に敵が多いことは自覚している。問題はない。一人で戦うことには慣れている。「私は味方に数えて頂けないのですか?」カグツチの不満顔。「すまない。一心同体過ぎて忘れていた」既に"自分"の範疇だったとメレフは素直に詫びた。

【こんなに誰かを大事にしたのは初めてだ】
「民も兵士も召使も大事なのに、こんなに大切に感じるのは初めてだ」生後間もない従弟についてメレフは語る。「当然です。弟君なのですから」カグツチは頷く。独り占めできていた少女の愛を奪われた大人げない嫉妬を隠して。「あ、だが、お前はまた別だ」当然の顔で言われ、情けない棘が容易く溶けた。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



ネフェメレ、他


【御馳走様でした。】
久々に共にする夕食。メインの魚にメレフが一瞬無の顔になる。「アヴァリティアアンコウはお嫌いですか?」「いえ、旅の途中で調理した事を思い出しまして」「できたのですか?」苦い顔。「でしょうね」察して笑う。他愛ない会話。ご馳走様を告げた時、ネフェルは料理だけでない満足感で一杯だった。

【幸せかどうかはともかくも、】
年相応に遊んだ経験は殆どない。父帝は早死し後ろ盾は弱く元老院は忠臣ではない。大地の寿命は気掛かりだが今日明日に飢える心配はなく民からは支持されていて信頼できるブレイドもいる。何より従姉が政敵ではなく絶対的味方として側に居る。幸福かどうかはともかく、ネフェルは日々に満足していた。

【世界で一つだけの願い事】
「皇帝って願えば何でも叶いそう」命を助けられて以来懇意にしている猫耳少女が無邪気に言う。ネフェルは苦笑した。「そうでもないですよ。叶わない事ばかり」「そうなの?」例えばもう一度戻りたい日がある。メレフと共に屋敷を抜け出した炎天下。ただの姉弟として笑い合えた夏は、もう手に入らない。

【いつか自分を守ってしぬだろう】
「私は貴方の盾です、陛下」跪いて頭を垂れる従姉は、言葉通りいつか自分を守って死ぬだろう。大好きな命を消し去るのは間接的に自分だとネフェルは自責のように信じていた。けれど。爆音。熱風。火傷と裂傷と激痛。絶望に歪むメレフの顔。命の結末は逆だったのだと知る。私が、貴方を守って死ぬのだ。

【偶の笑顔は殺傷力が高い】
メレフ特別執権官。性格は冷静で厳格。凄腕且つ有能で、不正を嫌い規律を好み、下の者への面倒見がいいので兵士達から絶大な人気を誇る。「特に偶の笑顔の殺傷力が高いのだとか」「はあ…」従姉の困惑顔にネフェルは微笑む。稀どころかこんなに表情豊かなのにと、ささやかな優越感で彼は上機嫌だった。

【例え君が"僕"を忘れても、僕は"君"のことを忘れない】
「お初にお目にかかります、皇帝陛下」ワダツミが膝を折る。メレフの心配そうな眼差しを感じる。自分を忘れた彼に対し、ネフェルの心は穏やかだった。痛みはある。けれど。
「はじめまして、ワダツミ」
大丈夫。だって全部覚えている。大好きだったブレイド。貴方が忘れた貴方を、私だけは忘れない。

【鬼でいる方が楽なんだ惑わせないでくれ】
彼がまだネフェルのブレイドだった頃の話。「少し厳しすぎるのではなくて?」カグツチの呆れ声がワダツミを呼び止める。半泣きのネフェルとすれ違ったのだろう。「私なりに陛下を思ってのことなのだがね」「鬼教官じゃないんだから」「好きに言ってくれ」幼帝を泣かして許されるたった一人が彼だった。

【君なしでも生きられるが退屈だろう】
常に一緒で仲睦まじいメレフとカグツチとは違い、ネフェルとワダツミの関係は少々ドライだった。「貴方は私がいなくても生きられるのでしょう」ブレイドがそんな事を言う程度には。「そうですね。でも、きっとその未来は退屈だ」最低の与太話が現実になった時、ネフェルは自身の予感の正確さを知った。

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