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Dear, my dear.

ゼノブレイド2非公式二次小説置き場。 ジクメレ・カグメレ等メレフ中心。 管理人:琉

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140字SS_201712-201801

ジクメレ

【酔いつぶれた君と素面の僕】
赤い顔で寝息をたてるメレフを前に、ジークはさてどないしよと息を吐く。弱そうな様子を軽い気持ちでからかったのが悪かった。ムキになってペースを早めたった二杯でこれである。影を落す長い睫毛に女性なのだとつい意識する。あかん、早う来てくれカグツチ。詰られる前提で求める助けはまだ届かない。

【おいていかないで】
ブレイドイーターとして人ならぬ長寿を得たと知った時、ジークの脳裏には二人の女性が浮かんだ。一人は昔から姿の変わらぬ少女、もう一人は気付けば年嵩になっていた男装の麗人。良かったな、と彼女は笑う。待ってくれ。サイカと長う添えるのは確かに嬉しいが、お前に置いていかれるなんて聞いてへん。

【照れ隠しの仕草】
正面のメレフを眺めて5秒。気付かれ目が合い更に10秒。なおも逸らさずにいると、彼女は軍帽を目深く被り直した。
「何だ」
「検証や」
軍帽を奪う。気恥ずかしそうな頰が露わになる。
「帽子触る癖あるな。照隠しやろ」
にやりと笑うジークをメレフは睨め上げる。大人しく軍帽を返し、視線を隠した。

【ずるい人】
自分を女性陣から除外するくせに、男扱いすると怒る。男装の麗人と言われるが、要するに男と女を都合よく使い分けている。
「で、今はどっちや」
大樹を背に距離を詰められてけれどメレフは涼しい顔だ。
「何言っている。私は私だ」
するりとジークから身を躱す。取り敢えず、女でいる気はないらしい。

【なんで、私だけ】
自分だけ老いていくのが複雑だとメレフは笑う。カグツチもサイカもそしてジークも変わらぬのにと。
「しゃあないやろ」
出会って5年、彼女はジークの外見をとうに超えた。幼さを失い成熟した女になった彼女をあしらいながら、胸中で首肯する。ほんまに。なんでお前だけ、ワイを置いていくんやろうな。

【頬に爪を立てる】
ソファを占領して爆睡する姿に、変な気紛れが起きたのだ。
「ジーク」
近づいて呼んでみる。反応なし。調子に乗って指先で跳ねる髪に触れ、そのまま額、頰までを伝い、手袋越しに爪を立ててみて—手首を掴まれる。
「えらい珍しい目覚ましやな」
寝惚け眼が笑う。メレフは余計な悪戯心を心底後悔した。

【誰も欲しくない】
将来を聞くと、まあ政略婚だろうなと淡々と言う。少々つまらない気分になって誰も欲しがらんのちゃうかとからかうと物凄い眼光で睨まれた。
「ま、誰も貰い手がおらんならルクスリアに来りゃあええ」
一瞬きょとんとしたメレフはすぐに噴き出して「政略の中では一番マシだな」と冗談の間合いで笑った。

【Marry me?】
ミクマリとセオリは姉妹を自称するが、ドライバーたるジークとメレフは他人である。
「お前が裏門の雪だるまになるんが一番話早いんちゃうか?」
「断る。せめて義兄妹の発想はないのか」
「つまり婿養子ならええってか?」
「何故そうなる!」
メレフの怒号が響く。そう聞こえる発言をしたのは誰だ。

【たとえばの話】
たとえば、だが。メレフは考える。女として育てられていたら、顔を赤らめるくらいしたのだろうか。
「どや、どきどきするか?」
ジークは悪戯っぽく笑う。顎を掴まれて仰かされている。冗談が高じた悪ふざけにも、この心臓は大人しいものだ。
「いや、全く」
そうかい、と、やや残念そうに解放された。

【これだから酔っぱらいは!】
彼女は酒には弱いが酒癖は悪くない。ただ真っ赤な顔で眠たそうにするだけだ。
「もう帰るで」
「ん…」
立ち上がらせようとするが、よろけたメレフはジークに凭れ掛かる。何か柔い感触。詫びる声も普段より甘い。女だとうっかり再確認して溜息。酒癖は関係ない。これだから酔っ払いはタチが悪いのだ。

【たとえばの話】
「たとえば」メレフが言う。軍帽に隠れて顔は見えない。「私が死んだら、お前はいつまで私を覚えているのだろう」
瞬きを繰り返す。涼しい声で最悪の仮定。
答えを拒んで笑う。
「相変わらず冗談が下手やな」
それはすまないと向く顔は既にジークより年嵩だ。
たとえばの話。
それは必ず来る未来の話。

【優しさだけじゃなくて】
触れる手は優しい。声も口付けも行為も。けれどそれだけでは物足りず、羞恥に耐えながら囁く。
「ジーク…もっと、激しく……」
一瞬動きが止まる。解れた髪を柔らかく撫でて彼は笑った。
「ああそういう趣味か。すまんかったな」
途端に勢いを付けて突かれる。望んだ快感がメレフに嬌声を上げさせた。

【月だけが見ている】
「真面目な話、ルクスリアに来んか?」
晴れた夜、不意に傍らの男から真剣な声が落ちた。メレフは首を傾ける。
「外遊の予定はあるが」
「違うわ、お前の人生の話や」
息を呑むメレフへジークは距離を詰める。
「綺麗な雪だるま用意したるで」
軍服は逃げない。重なった影の結末は、月だけが見ている。

【最後だね】
婚姻が決まった、と。どこまでも冷静な声が言う。
「だから会うのもこれで最後だ」
言葉を失うジークにメレフは口付ける。寂しげに笑い、涙はない。
「今になって気付いた。私は私が思うより、お前を好きだったらしい」
もっと早く手を伸ばせばよかった。今更の後悔が心を裂く。もう何もかも遅かった。

【もっとって言って】
ベッドの上でまで意地の張り合いが始まり、だがジークは状況をそこそこ楽しんでいた。
「で、どうして欲しいんや」
「分かる、だろう…っ」
「分からへんなあ。ほらメレフ、言うてみ」
囁く。そこに触れる。とろりと溢れた熱い蜜。艶やかな吐息。淫語までは求めない。ただもっとと強請らせたいだけだ。

【一番厄介な存在】
メレフの世界は帝国とネフェルとカグツチで完成していた。それはどんな悪意でも揺らがぬまま、生涯続くと信じていた。
だからだ。生じた異物をつい目で追ってしまうのは。
「何や。惚れたか?」
「冗談も大概にしろ」
声に乗る信頼と友情とその他諸々。そんな好意こそが一番厄介なのだと初めて知った。

【ゲームを始めようか】
不意に交わる視線、増えた冗談、縮む距離。されど横たわる関係に名前も形もなく、さてどうしようかと話合い、割合有意義な結論を得る。「成行き任せとも言うな」とはメレフの談。まあええやろとジークは返す。
さあ、ゲームをしよう。本気になった方の負け。勝負が付いたら、今度はそこから始めよう。

【二人だけの王様ゲーム】
賭けねば楽しくないが賭博は避けたい。話し合い、勝った方が負けた方に命令権を得る、そんなチップでポーカーをした。結果はメレフの勝利。
「私のことをどう思っているか語れ」
どうせ伝わっているだろうに今更言葉にしろと言うか。高い払いだ。躊躇うジークに「命令だ」と、メレフは楽しそうだった。

【ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい】
「なんやこれ」ジークが手にした本の帯にそんなことが書かれている。「流行りの小説だな」ふっと考える。ハッピーエンドは来るだろう。寄り添う日は来ずそれで互いに満足だろう。「なんや?」「別に」だから美しくはないなと心の奥底に仕舞い込んだ時にはもう、メレフはその感情の名前を忘れていた。

【No title 1】
受身を取り損ねて後頭部を強打し世界が大揺れに揺れた。霞む視界に刃の切っ先が迫る。「メレフ様!」叫び声を背に、けれど覚悟より早く滑り込んだ大剣があった。「メレフ、ええ寝顔しとるやないか」大きな背中越しににやりと笑う眼帯。貸しができてしまったと微笑みながら、差し伸べられた手を取った。

【No title 2】
「別の生き方を選べたら、別の未来があったと思うか?」ジークの感傷を、メレフは微笑一つで切って捨てる。「おかしなことを言う。私たちは出会う前から、とうに生き方を定めていたではないか」「…せやったな」頷く。片手を上げて、ジークはくだらない発言を詫びた。「変なこと言うたわ、忘れてくれ」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆



カグメレ

【望むだけ無駄なこと】
「もし、生まれ変わったら」忘れたくないのですと告げたカグツチに、メレフは戸惑いがちに微笑んで言った。「また、お前のドライバーになれたらいいな。それで、もう一度、お前と生きられたらいい」忘れたとしてもまた会おうと、子供じみた約束を忘れないよう日記に残す。きっと来ないその日のために。

【よくもそんな恥ずかしい台詞を】
墓の話が危うくルクスリアに嫁ぐ話に跳躍しかけ、慌てたメレフは毅然と言い放つ。「カグツチがいるのだから、そんなものは必要ない」突然の流れ弾にカグツチは固まった。お待ちくださいメレフ様、それは。にやけ顔のジークの視線が鬱陶しい。その台詞が何に聞こえるか、彼女に自覚はないらしかった。

【君とならできる】
ネフェルの即位と同時に、特別執権官に任命された。若輩者には重すぎる地位に、気は引き締まるが不思議と不安はない。
「お前がいるからだな」
帝国紋を頂く軍帽を深く被り、カグツチを見つめる。微笑が返る。
「お前となら、私は何でも為せる。そう思えるんだ」
「光栄です。参りましょう、メレフ様」

【貴方だけを見つめる】
カグツチの力は防御だ。そのドライバーたるメレフの役割は最前線で帝国の盾となること。とはいえ無茶は叱責の対象だ。お前は過保護だとメレフは抗弁するがいい加減気づいて欲しい。確かにこの身は守護の力。貴方が望む限りを全て守ろう。けれどこの庇護欲が見詰るのはただ貴方一人。心配くらい当然だ。

【独り占め】
メレフが無言でカグツチの背に額を押し付けてくるのは、精神が摩耗してしまった時だ。泣き顔を見られたくない強がりによる幼い頃からの癖。言葉は掛けない。彼女はそれを必要としない。唯その弱さを独り占めする栄誉を噛み締めてじっと待つ。「すまん」小さな声。「何がです?」振り返らずに微笑んだ。

【春に誘惑、桜に恋を】
「私には少し甘すぎないか?」「いえ、きっとお似合いになりますよ」そんな問答を経て、カグツチの見立てならと購入したリップグロス。「どうだろう」早速試してメレフは照れくさそうに笑う。唇は潤んだ桜色。面映ゆんで頬まで染めて、まるで春先の少女のようだ。「とてもお可愛らしいです、メレフ様」

【No title 3】
女同士でキスが出来るか。そんなガールズトークが聞こえて、うっかりカグツチを浮かべた頭が、出来るな、と結論を下す。
(いやいやいや)
疲れているなと首を振る、その拍子に本人と目が合った。真顔で見つめ合い数秒。同じ結論を下したらしいと確信して、メレフは笑う。
「してみるか?」
「ご冗談を」

【No title 4】
地位と実力故に受ける悪意は多い。愚痴を喚く性格でもなく、酒に逃げるにはアルコールに弱い。そんなメレフが精神の摩耗を防ぐ為に覚えたのは、カグツチに寄りかかることだ。
「端的に言う。疲れた。甘やかしてくれ」
溜息を吐く無表情を抱き寄せる。もっと強くとの要望に応え、腕に込める力を増した。

【No title 5】  
妙なことを教えてしまったと今更カグツチは反省する。片恋さえ知らないメレフに出来心で接吻を教え、今では舌の絡め方まで覚えてしまった。どう責任を取るべきかしらと考えていると、不満そうな琥珀色に睨まれる。
「私との時間より大事な考え事か?」
本当にどうしよう。余計な感情を教えてしまった。

【No title 6】
「私の前でお前を口説くとはリンネもいい度胸だ」
メレフが笑う。声に微かな棘がある。
「嫉妬ですか?」
「ああ、悪いか?」
つい苦笑した。気高き主はやきもちまで勇ましい。浮気は許さないぞと冗談めかすメレフを、貴方が言いますかと流す。カグツチだけの彼女でいてくれないのはメレフの方なのに。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


ネフェメレ、他

【あの日から一番遠い僕ら】
「陛下」
貴方は呼ぶ。
「特別執権官」
私は返す。
報告と了解、命令と受諾、相談と助言。私と彼女の会話はそればかりだ。つい思い出してしまうのは、私の甘さなのだろう。グーラで湖まで手を引いてくれた背中と笑顔。
「気を付けろよ、ネフェル」
「はい、従姉さん」
あの日の声が、こんなにも遠い。

【無理をするのは得意】
「—従姉さん!」
はっと気付けばネフェルが心配そうに自分を呼んでいた。申し訳ありませんと慌てて詫びる。過労から意識が飛んだらしい。
「……特別執権官、すぐに休息を取りなさい」
「ですが陛下」
無理は得意だ。食い下がるメレフに、怒る顔が珍しく厳しい口調で告げた。
「命令です。良いですね」

【オフレコ】
ネフェル。ほんの時たま、姉として自分を呼ぶその声が好きだった。せいぜい互いのブレイドしか知らない、それは二人の秘密だった。
それなのに。
「ネフェル! 目を開けろ、ネフェル!」
痛みすら薄れる意識の中、唇すら動かせずに笑う。駄目じゃないですか、従姉さん。こんなに大勢、人がいるのに。

【恋心散弾銃】
メレフが疲れた顔をしていた。カグツチに理由を聞くと、また女性から告白され断るのに骨が折れたという。今回はメレフが女性と分かってなお食い下がられたとか。
「従姉さんは魅力的ですから」
街を歩けば道行く女性に徒花を咲かせる罪深き彼女だ。
ネフェルは笑う。
徒花なら、ここにも咲いている。

【嘘でも言えない】
この想いを告げたらメレフはどんな顔をするだろう。見たことのない眼差しをネフェルに向けてくれるだろうか。
「陛下? 私の顔に、何か…?」
「いいえ、なんでもありません」
従姉さん知っていますか、貴方は私の初恋なのです。
貴方を縛るそんな言葉は嘘でも言えない。本当だから、尚更言えない。

【No title 7】
高圧的に牢にぶち込まれた第一印象は最悪。トリゴ領主の下衆な印象にも引摺られ、仲直りとは言ったが絶対好きになれないと思った。だが。
「カグツチ、大事ないか」
偶然目に入った、信頼を灯す優しい瞳。へえ、ブレイドのことちゃんと大事にしてるんだ。それはニアが初めてメレフに覚えた好感だった。

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