【No title 1】 受身を取り損ねて後頭部を強打し世界が大揺れに揺れた。霞む視界に刃の切っ先が迫る。「メレフ様!」叫び声を背に、けれど覚悟より早く滑り込んだ大剣があった。「メレフ、ええ寝顔しとるやないか」大きな背中越しににやりと笑う眼帯。貸しができてしまったと微笑みながら、差し伸べられた手を取った。
【No title 2】 「別の生き方を選べたら、別の未来があったと思うか?」ジークの感傷を、メレフは微笑一つで切って捨てる。「おかしなことを言う。私たちは出会う前から、とうに生き方を定めていたではないか」「…せやったな」頷く。片手を上げて、ジークはくだらない発言を詫びた。「変なこと言うたわ、忘れてくれ」